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きいろいしっぽ3

いつもと同じ朝、時刻はもうすぐ7時になろうとしている。



なんか目が冴えてしまった。



ふぅ、とベッドの中でため息をこぼしてから、目覚まし時計をオフにする。
ゆっくり布団を剥いで、ベッドから足を下ろすと・・・・・・いつもの朝だと思っていたのとは違うことに気がついた。

キッチンからの独特な音と匂い。

もう何年もこんな感覚が無かったので、無意識に顔がほころんでしまった。
その違和感に頬をさすり、顔を作ってから部屋を出ることにした。










「あ、おはようございます。ちょうど今できました。」



てきぱきとテーブルに並べられていく朝食に眼を奪われながらも、昨日結局願いごとが決まらず、ここにいることになってしまった彼女を観察することにした。

見た目はかなり若い、というかまぁ年下あたりだろうと思う。
高校生ぐらいか。
明るい栗色の髪は長いところで肩ぐらいまであり、確か昨日、染めてるんですと言っていた。
身体の時間が止まっているようなので頭がプリンにならなくて楽チンなんです、とも言っていた気がする。

というか、よくわからないが、そんな魔法のようなことがあっていいのだろうか。
しかも突然こんな事態に陥って、この子は困ったり悲しんだりしなかったんだろうか。
家族は?
親しい友人や恋人だっていたんじゃないだろうか?

疑問が次々に浮かんで、不躾にもガン見していたらしい俺に彼女は首をかしげて言った。



「あの、好みと違いますか? 冷蔵庫確認したら全然入って無くて、いちおう昨日のうちに買っておいたんですけど。」



「え・・・ああ、ごめん考えごとしてて。というか、買っておいたってどうやって?」



「それは、これを使って。」



そうして箸を一度置いた彼女はポケットから薄い円盤状のものを取り出しテーブルに置いた。

そういえば、昨日の鉄瓶・・・。
彼女は鉄瓶に向かって自分の名前を唱えるとそれの形を変えてポケットにしまいこんだっけ。



「私、毎回違う物に宿ってるみたいです。この前は大きな鏡でしたし、それの前はひよこのぬいぐるみでした。これに念じるとお金が出てきたり、必要なものが出てくるんです。」



すごいですよね、などと彼女は笑っている。
俺は軽焼きの食パンを食べながら、願い事について考えることにした。
昨日寝る前も考えたのだが・・・全く良い案が浮かばなくて、結局疲労回復のため睡眠を優先することにしたのだった。



「いろいろ考えてみるから、最上さんには悪いけど・・・。」



「あ、いえ、こちらがいきなり来てしまったわけですし、ゆっくり考えてください。」



にっこり笑う彼女が箸をとってまた食べ始める。
昨日からしゃべっていて気づいたのは、彼女はどうも遠慮がちというか、いや、かなり礼儀正しいということ。
年齢的にこんなにきちんとしている女の子は久しぶりに見た気がする。
業界でもそうそういない。
元は良い所のお嬢さんだったんだろうとも思ったが、髪は染めてるし、娘がいなくなったりしたら親が大騒ぎするのではないだろうかとも思う。

と、いろいろ考えながら食べているといつのまにか食べ終わってしまっていて、俺は時計を見た。
まだシャワーを浴びる時間はあるようだ。



「あ、ごちそうさま。俺シャワー浴びてくるから。」



「あ、はい。後はおまかせください。そういえば、8時に迎えの方がいらっしゃるんでしたよね。」



「ああ、えっと・・・・・・俺話したかな?」



「次のお客さまが決まったら、宿ったものの中まで近くの声とか聞こえるんです。昨日、社さんという方と話してましたよね。」



なるほど、それでか。
現実離れしている話だったが、妙に納得してしまい、俺は彼女に片付けをまかせてシャワーへと向かった。











「あ、そういえば、私名前聞いてませんでした。なんてお呼びすればよろしいですか。」



シャワーから上がった俺は、いつのまにか今日着ようと思っていた服を用意されていて、また驚いたのだが。
どうせまた鉄瓶を使ったのかと無理矢理自分を納得させて、袖を通していると後ろからジャケットを持ったまま彼女が言った。



「あぁ、俺は敦賀蓮。職業は俳優。だから、君には、」



「外には出ないようにします。あと、どうしても行かなきゃいけないときは見つからないようにしますし、敦賀さんに会っても話し掛けないようにしますね。」



・・・・・・。
なんというか飲み込みも早いというか。
そしてちょっともやもやするというか。

ん?
もやもやってなんだ?



「今日はいつごろ帰ってきますか?」



「えっと、23時すぎになると思う。」



「わかりました。軽く作っておきます。」



もやもやが何かわからずに彼女の質問に答えてから、ジャケットを受け取った俺はインターホンが鳴ると同時にそれをはおりながら玄関に向かった。


つづく




めざましどけいって変換したら→目座間氏ド系って出てきた涙


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